自覚夢の記録( 再編集-収録 )a

私の上体を( 寝床から )起こしてみた。夢だ。明るい光がその室内に部分的にやわく入っていた。厚い本が何冊か、私の寝床の左側にあった。私の手元のその一冊を確かめてみようと私が表紙をみると、そのタイトルか“ In Paris ”などという文字があった。私はその頁をめくった、ある一頁を読んでみた。最初、両方の眼を同時に使うと夢の光景自体から外れてしまうと私は思ったので、私の両目を使わずに左の眼だけを開いて見るように私はみた。どうしてもその本の内容を確かめたかったからだ。片目でその本が見えたので、私は両方の眼でその頁をみた。( 一方の鉄道踏切の警告灯のようなイメージとともに、 ) 頁の右側には縦書きの普通の日本語書体、ある道筋を途中で下りたことについて述べられた部分が読めた。その2、3行分をとりあえずその文面としてできる限り正確に私の記憶に留めようとした[ が、いま私はそれらを憶い出せない。 ] その文の前後には、あたかも〓記号を複写機で中途半端にコピーしたら縁をぼかしたかのようにみえたといった様子の、それら一角ごとでなくある一定のひと続きずつに分かれたいくつかの塗り潰しの行みたいな奇妙なパターンがあって、文字ではなかったようだ。

[ その場で字面をそのままに私に記憶しようと私が試みたよりも、その全体を楽にめくってその印象を確かめたほうがよかったかも知れない( 私はその本にまったく見覚えがなかったからだ。無論、そこには何も作為などなかった。 ) その本はガイドブックの体裁ではなかった、創作小説作品のようだった。私が視認したとき、その文自体に何も変化はなかった。その頁の滲んだ部分に奇妙だったと私は記したが、実際に普段書物を開いて文面を読んだりする場合の、視点周辺で判読されていない部分を絵としてみたのと同じ“認識( 印象 )”のままにそこに映写されていたのかも知れない。 ] 2010-04-17


夢だ:私は見慣れた台所にいた、赤ワインの入ったグラスをひとつ持ち上げた。右側に、そっくりなグラスがもうひとつあった。それが床に落ちて転がった、見ると、その底にワインの液体のようなものが造り物みたいに固まっていた。( そうだ、このワインの味をみよう。 ) その色合いは普通に赤ワインのようだったが、香りがなかった。私はグラスを傾けて少しずつ何回か啜ってみた。マスカットジュースの味だった。その台所の側面に小さな鏡があったので、私の顔をそこに映してみた。その像は普通に私の顔面に似ていたが、やや西洋もののようだった。私が横を向いて私の鼻を高くしてみようと手で引っぱり上げようとしたら、それは伸びずに外れた。その下にもうひとつ同じ形の小さな鼻。
[ その絵としては特殊メイクの付け鼻が部分的に外れてしまったかのよう。 ] 私は歩いて別の室内に向かったあいだに( いつも通りの室内の光景なので、 )「 これは歩きながら夢を見ていると思っているだけの状態では? 」と私は思った。 2010-04-30


屋外のグラウンドのようなところに、あるグループがいた。そこからある男と離れて私は歩きだした。歩きだした私はふと振り返って( 誰もいない )路をみた。( 気配ない住宅街の片側に区切られた小さな町内公園みたいに )緑の茂った木々がみえたのだが、そこで、私の目には見えなかったある悪意というか、急にそこから私に迫ってくる気配というようななにかだった。私は急に恐ろしくなった。 2010-11-07

[ 姿の不明なものが襲いかかってきたような気配というと、まえの8月24日“ 噛みつき犬 ”の夢と似ている( 下記前例2 )。
今回の夢直後にも、私の両手で中心に圧縮をしたように私はその“ 悪意 ”を収めようとした。前回“ 悪意の匂い ”としては、私の睡眠中でないときに、土偶のような像のイメージがあった( 下記前例1 )。 ]

( 前例1 )2010-08-05:
悪意の匂いがした。寝具にのびているあいだに異質なものがあって、それが体の左側にかたばったような感じと関係しているような気がした。“ 自分自身 ”とそうでないものを私は見分けようとした。ある像がみえた。その両眼の部分が四角い穴凹になっている白っぽい土偶のようなもの。そのうえにはまるい帽子みたいな物を象ったかのように、正面に縦に筋が浮き出している。南米のどこかの呪いではないかと私は思い、その像を小さな点に凝縮しようとした。後でそれはねじれのある岩の棒みたいに変わった。

( 前例2 )2010-08-24:
暗い夜道、仲間たちと別れて住宅地ぞいの植えこみのある小さな通りを行った。すぐまえにK氏の後ろ姿のシルエットがみえた。暗い前方から突然、何か近づいてくる気配があった、私は引き返して逃げようとした。唾を吐く音が二回きこえた。走りだすことができず、腕に噛みつかれたと私は思った。
[ 起き上がりながらその鼻先を殴りつけるように腕を振った。一瞬、犬のうなり声みたいな音をたてた。 ]

〔 上記部分は直接に場面的な‘ 夢だ ’の気づきを含んでいるわけではないが、自覚夢的であり、私の索引としての意味があると思うので残した。 〕


昼間、軽い夢から気づいた度に、「 私の自覚夢へのしるしになるようなものをそこにおいておこう 」と私は思った、繰り返してみた。しかし、“ 明晰夢 ”という言葉で書かれたようなものをそこに想像しても、それは( 本質の現象ではあったかも知れないが )私の私自身をこれに気づかせることができない。そこで、私の古い記録の中のある対面的な印象について、もういっぺん私は分析してみることにした。
 私に判らないのは、見覚えのない姿形が現われた場面だ。それらがすべて記憶によるものだったとすれば、ある象徴的特徴に合成されていたのだろう。例の夢の“ もの ”の特徴は、家についての私自身を反映していたともみえるが( 下記-前例1、 ) 良心的にみても、本当に“両親”と関係がなかったのだと思う。

( 前例1 )2010-09-03:
家から出かける母のかわりに玄関から室( 居間 )に入った、壁一面に色々な物が出ていた。よじのぼるようにしてそれらをいちいち手につかんでみた。石のような物も半ば流体みたいにぐにゃりと曲がる( 夢だと思っているので以前の実験のように異常感はなかった。 ) 天井に近いところに,黄色がかった上半身だけの裸の人体模型のような物が( その両腕を上に伸ばした形で )浮かんだように付いていた。わたしはのぼりながら壁にあるいくつもの賞状の書面( 筆書き )らしきものを読もうとしたが、判読できなかった。

[ きっかけははっきりとしない。なぜ夢だと気づくのか。本来それが夢だと言えるのは、宇宙に果てがないとはどういうことかを思慮するときの面白さとおなじで“ 現実に対する正当な意識 ”がある場合だと私は思うが、後で、二度と想いだすことはできない。私は壁にかかっている賞状を普通に視覚的に見るように見ようとしたが、それらは変化しなかったにしても、日本語で書かれてあったように見えて、しかし意味をなしたとは思えない、なぜなら私はいまそれらを憶い浮かべることができないからだ。同様に、壁にあった物品のほとんどを“ 憶い出す ”こともできない。それらはあるイメージとして記憶的に再現された部分で、夢そのものの正体を明かしていない。 ] 2010-11-28


編集元ファイル等: Dreamt1.htm,Dreamt2.htm.これらの収録内容等は前ファイルと一部重複する可能性があります。

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